抄録 |
三軸圧縮試験中(CD試験, 及び, <CU>^^^-試験)における供試体内部の全応力分布, 有効応力分布, 間隙水圧分布を, 供試体試料の自重及び水の自重を考慮して, 理論的に明らかにした。そして, 供試体内部の有効応力分布の観点から, 三軸圧縮試験がどのような条件の下で要素試験であると言えるかについて考察した,そして, 次のような結論を得た。(1) CD試験及び<CU>^^^-試験における供試体内部の間隙水圧分布, 水平及び鉛直垂直全応力分布, 及び, 水平及び鉛直有効応力分布は, Fig. 7に示すように統一的にまとめることができる。(2)水平有効応力σ_x'は, 供試体内において一様分布である。したがって, σ_x'分布に関してはつねに要素試験の条件が満足されている。(3)鉛直有効応力σ_z'は, 供試体内において, (17)式で表されるように直線的に変化している。σ'_z分布の観点から, 三軸圧縮試験から得られる変形特性(応力∿ひずみ関係), 及び, 強度特性(粘着力c', 及び, 内部摩擦角ψ')に関して次の事柄が言える。ここでは, 標準的な三軸圧縮試験, すなわち, 試料のR_<uz>単位体積重量γ'=1.0gf/(cm)^3,試料の長さl=10cmについて述べることにする。(i)変形特性(応力∿ひずみ関係)σ_z'分布に関して, 1.0%以下の誤差をゆるすとすると供試体中央におる鉛直有効応力σ_1'がσ_1'>1.0kgf/(cm)^2で, 5.0%以下の誤差をゆるすとするとσ_1'>0.2kgf/(cm)^2で要素試験であると考えられ, 実験から得られる応力∿ひずみ関係に意味があると考えられる。(ii)強度特性(粘着力c', 及び, 内部摩擦角ψ')破破壊時の鉛直有効応力分布(σ'_<zf>分布)に関して, 1.0%以下の誤差をゆるすとすると供試体中央における破壊時の鉛直有効応力σ'_<1f>がσ'_<1f>>1.0kgf/(cm)^2で, 5.0%以下の誤差をゆるすとするとσ'_<1f>>0.2kgf/(cm)^2で要素試験であると考えられ, 実験から得られる強度定数c', ψ'に意味があると考えられる。さて, 砂質土または正規圧密された粘土の場合, 一般的にc'=0であると考えられる。このとき, たとえばψ'=30°の場合, σ'_<zf>分布に関して, 1.0%以下の誤差をゆるすとすると供試体中央における破壊時の水平有効応力σ'_<3f>がσ'_<3f>>0.333kgf/(cm)^2で, 5.0%以下の誤差をゆるすとするとσ'_<3f>>0.067kgf/(cm)^2で要素試験であると考えられ, 実験から得られるψ'の値に意味があると考えられる。ψ'の値に意味があると考えられるσ'_<3f>の最小値σ'_<30f>の値はTable 3に示すようにψ'の値によってかなり変化する。上の(i), (ii)で述べた範囲は, 換言すれば, 試料及び水の自重を考慮しなくてもよい範囲であると言うことができる。したがって, それらの範囲外では, 要素試験であるとは言えず, 実験から得られる応力∿ひずみ関係, または, c', ψ'は平均的な意味での応力∿ひずみ関係, または, 強度定数c', ψ'であると考えなければならない。もちろん, その場合には, 試料及び水の自重を考慮しなければならない。(4)間隙水圧u_zは, 供試体内において, (15)式で表されるように, 直線的に変化している。標準的な三軸圧縮試験(l=10cm, γ_w=1.0gf/(cm)^3)について考えると, u_z分布の観点から, 三軸圧縮試験から得られる力学特性に関して次の事柄が言える。間隙水圧分布(u_z分布)に関して, 1.0%以下の誤差をゆるすとすると供試体中央における間隙水圧uがu>1.0kgf/(cm)^2で, 5.0%以下の誤差をゆるすとするとu>0.2kgf/(cm)^2で要素試験であると考えられ, 実験から得られる力学特性に意味があると考えられる。間隙水圧分布に関しては, バックプレッシャーを増加させることによって, 有効応力を変化させることなく, 間隙水圧分布を一様と仮定することに関する相対誤差Ru_zを減少させることができる。したがって, 間隙水圧分布が要素試験の条件に影響することは少ないと考えられる。
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