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現代アメリカ地方教育行政における「急進的」改革の事例研究 : ワシントンD.C. : 教育監ミシェル・リーによる教員処遇策

A Study on a radical educational reform in a School district in USA : Focusing on teacher policies by Michelle Rhee in Washington D.C.

Japanese (日本語)

神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要

7(2)

79-95

神戸大学大学院人間発達環境学研究科

2014-03

2014-05-28

現在わが国では、地方教育行政制度の抜本的な見直しが提起されている。その主題は迅速かつ機動的な危機管理的対応に置かれる。この点でわが国に示唆を与えうる事例として本稿が注目するのが、米国ワシントン D.C. の教育改革である。D.C. では、教育行政を市長直轄管理に移行した後、教育監によって大胆な教員解雇・学校閉鎖等が行われ、大きな論争を巻き起こしている。改革の中心的人物・教育監ミシェル・リーは、既存の教育行政制度の慣行にとらわれることなく、その大胆な変革を期待・登用された。彼女は公立学校改革への支援を志向する NPO 活動のなかで、教員人事制度改革をめぐるアイディアを生成した。それは制度再編をめぐる政治過程のなかで関係アクターに受容され、全米で最も急進的と評される改革を性格づけた。D.C. における新たな教員評価システム“IMPACT”では、児童生徒の学力を伸ばせたかを基準とする評価手法および管理職やメンター教員による授業視察等によって、教員の力量を可能な限り正確に測定するための制度設計が目指された。D.C. の事例は、第一に急進性の根拠の検証、第二に急進性の発動過程の変容、第三に教員処遇策の展望において、わが国の教育行政制度をめぐる理論と実践に大きな示唆を与えうるものである。

紀要論文