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キョウイクテキ ナル モノ アルイハ セイジテキ ナル モノ トシテノ キョウイクテキ カチ カツタ シュイチ ノ キョウイクテキ カチロン ニ チャクモク シテ

Educational Values as "the educational" or "the political”: Focusing on Shuichi Katsuta's Notion of Educational Values

Japanese (日本語)

神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要

14(1)

27-36

神戸大学大学院人間発達環境学研究科

2020-09-30

2020-10-19

本稿は、「進んだ学校―遅れた保護者」という図式のもとに生まれる政治（公共性をもった権力関係）に着目し、そこで生まれる政治と教育的価値＝「教育的なるもの」との関係を明らかにすることを目的とする。まず、教育的価値が「政治的なるもの」としての側面をもつことを明らかにした。勝田の教育的価値は「発達」を軸として構成され、善きものとして聖化された「教育的なるもの」としての側面を有している。しかし、教育的価値が善きものを措定することによって、同時に、教育的価値に反する悪しきものも措定される。これが教育的価値の「政治的なるもの」としての側面である。すなわち、教育的価値を標榜し教育実践を行う「われわれ」＝進んだ学校と、教育的価値に反し啓蒙の対象となる「かれら」＝遅れた保護者の創出である。次に、教育的価値によって逆説的に生みだされる政治、すなわち、「教育的であることによってかえって政治的でありうるということ」の内実を明らかにした。それは、教育的価値を標榜した実践によって、教師と保護者との対立＝政治が生まれるという逆説である。この政治をめぐって勝田は、教師と保護者との対話と、教育課程の再編によって新たな価値の創出を企図している。ただし、教育的価値によって生み出された政治的対立の場に現れるのは大人である。

紀要論文